約束手形と為替手形は似ているようで全く違います。
それぞれの違いについて正しく理解しておきましょう。
約束手形と為替手形はどう違う?
まず、約束手形は振出人と名宛人によって成り立ちますが、為替手形は振出人と名宛人のほかに指図人がいなければなりません。
約束手形の場合、支払いをするのは振出人です。
ですが、為替手形の場合は支払いをするのは、名宛人となり、指図人は名宛人に対して支払いを依頼する立場となります。
一般的に、商業取引で為替手形が登場することはほとんどなく、資金の取り立てや輸出入で使われることになるでしょう。
単に「手形」と呼ばれた際には一般的には約束手形を意味します。
ただ、業者によって考え方も違うのでこのあたりは確認しておいた方が良いかもしれませんね。
為替手形のわかりやすい例
為替手形は少しわかりにくいので具体的な例を挙げて紹介します。
まず、A社がB社から500万円の仕入れをしたとしましょう。
ここでA社がB社に支払いをする形となれば約束手形でも良いのですが、為替手形を利用するのは次のようなケースです。
例えば、B社がA社に支払いを求めたものの、手元に現金がなかったとします。
ですが、A社はC社に500万円の売掛金がありました。
こういったケースでA社がC社に対して「当社への売掛金万円を支払う代わりにB社に支払いを依頼する」というのが為替手形です。
この場合、振出人になるのがA社、名宛人(支払人)となるのがC社、指図人(受取人)となるのがB社ということになります。
登場人物が3人になることにより少しわかりにくくなってしまうのですが、約束手形と為替手形にはこういった違いがあるのでよく理解した上で最適な方を選択しましょう。
約束手形の場合は為替手形と違って指図人が存在しないというのが大きな特徴です。
それぞれの違いや役割を理解しておかないと為替手形が利用できない取引で為替手形を選択してしまうこともあるかもしれないので十分に注意したいですね。